二世帯住宅をおすすめしない3つの理由と解決できる設計術

こんにちは。

皆さん、家づくりは順調に進んでいますか?

実家を建て替えるタイミングで、二世帯住宅にするという話をよく聞きます。

二世帯住宅はメリットもありますが、デメリットが多いのも事実です。

僕は積極的には二世帯住宅をおすすめしていません。

その理由を今回は解説していきます。

シバケン
シバケン

二世帯住宅は金銭的なメリットはありますが、住んでから発覚する問題が多く注意が必要です。

目次

・二世帯住宅のメリット

・二世帯住宅をおすすめしない3つの理由

①家族関係の問題

②30年後の活用方法の問題

③相続の問題

・二世帯住宅の問題を解決できる設計術

・まとめ

二世帯住宅のメリット

二世帯住宅にすることは、親世帯、子世帯共に金銭的なメリットがあります。

親世帯の家が老朽化で建替え、子世帯は新築をしたいという場合、費用を折半して建築できるという利点があります。

また、子世帯の場合は新しく土地を購入する必要もなくなりますし、金銭的なメリットは大きいでしょう。

親世帯は子世帯が同居してくれることによって、将来的に介護をお願いしやすくなるでしょうし、子世帯は共働きしても子供を親世帯に預けられるという、生活的なメリットもありますね。

そういう理由で二世帯住宅を検討される方はいるのですが、何かデメリットはないでしょうか?

二世帯住宅をおすすめしない3つの理由

二世帯住宅は、建築後に問題が発生することが非常に多いと言われています。

設計士を始めて間もない頃に二世帯住宅を設計したのですが、そのご家族に3年後に会いに行った時、親世帯のご家族が不在でした。

理由を聞いたら「近くにアパートを借りて住んでいる。」と話していました。

これを期に、僕は二世帯住宅に対する考え方を改めることになりました。

二世帯住宅は避けることができない大きな問題があるのです。

勢いで、「お金にもゆとりが出るし、今が大丈夫だから、建てちゃえ」というのは絶対にやめてください。

①家族の問題

これが非常に難しい問題です。

同居する前は仲の良い関係だったとしても、同居した途端に関係が悪化することもあります。

理由も些細なことなんでしょうが、それが連続するんです。

ひとつ嫌なところが見えると、ボロボロと嫌なところが見えてくる。

人間とはそういうものです。

電気代が高い。

音がうるさい。

夜遅くまで起きているね。

昨日はどこに行っていた?

たまには一緒に食事をしなさい。

共用スペースが汚れている。

育児に対しての指摘やすれ違い。

味付けが濃い。お惣菜が多い。

新築時にこっちがお金を多く出したのに。

などなど…。考えるだけで嫌気が…。

嫌だと思うこと、気を遣うことが複数重なって、どちらかが出ていくんでしょうね。

経験的に、夫の実家と二世帯住宅を建てるというケースが問題が起こる可能性が多い気がします。

そりゃそうでしょうね。嫁姑問題ですね。

マスオさん的な二世帯住宅であればまだ良さそうですが、自分の親でさえも育児に対することを指摘されたりしたら段々と嫌気がさしそうですね。

なので、建築前にいかに良好の関係であったとしても注意が必要です。

②30年後の活用方法

二世帯住宅を建築後、30年後はどうなっているのでしょうか?

家自体はまだまだ現役でしょう。

以前は、日本の住宅は30年が寿命と言われておりましたが、耐久性も向上しているので、しっかり管理していくことで60年以上持つでしょう。

家族構成には変化があるはずです。

例えば、親が他界して、子世帯夫婦が親世帯のスペースに移動し、孫世帯が家族を持って、今まで子世帯のスペースを使用することになるかもしれません。

これが理想系です。

使うスペースを循環するんですね。

しかし、孫世帯の家族が二世帯住宅を選ぶでしょうか?

「親が敷いたレールの上なんて歩けない!」なんて言い出すかもしれません。

そもそも、孫の配偶者になる相手さんに、「結婚したら同居だよ。」というのは重荷過ぎませんか?

孫世帯の家族が同居を望まない場合、大きすぎる家を高齢になった子世帯が管理していくことになっていくんですね。

30年後の未来を想像してみてはいかがでしょうか?

③相続の問題

避けては通れないのが相続です。

子世帯に兄弟姉妹がいた場合、親世帯が持っている二世帯住宅の持分は相続の対象になります。

仮に子世帯が家の持分をもらっても、他に資産がない場合、兄弟姉妹にお金を払わなければならないかもしれません。

お金が払えなければ、土地と建物を売って相続するという結果になりかねません。

相続の影響で住む場所を失うなんて最悪ですね。

この問題は必ず直面する為、親世帯は遺書を用意しておくなどして、対策をしておかないと子世帯に迷惑をかけることになります。

このように、二世帯住宅は致命的な問題が起こりやすいので、正直あまりおすすめしません。

リスキーな選択をするということを理解して決断するべきですね。

営業マンはこのようなことを教えてくれないことが多いです。

建築単価も高くなるので、成績的にはプラスですもんね。

自分の身は自分で守らなければならないですね。

二世帯住宅の問題を解決できる設計術

そんな二世帯住宅ですが、問題を解決できる設計術もあります。

それは、「完全分離型」二世帯住宅住宅の一択です。

「完全分離型」とは、玄関、水回りなど全てを分け、共用部分を無くすことです。

「完全同居型(居室以外の全てが共用)」「一部共用型(浴室だけ共用など)」は、必ずと言って良いほど、問題は出てくると思って建築すると良いと思います。

「完全分離型」にすると、先ほど述べたおすすめしない理由の3つを、軽減することができます。

①生活の問題

電気代などの光熱費は、完全に分離して2つメーターを設置する。

共用部分がないから掃除問題もあまり無いでしょう。

完全分離なのでプライバシー性も確保できるので、育児や食事に関する指摘なども少ないでしょう。

ただし、音の問題は配慮して設計する必要があります。

1Fの寝室の上にリビングや子供部屋を配置しないなど、1Fと2Fの関係性は重要です。

また、僕は玄関や駐車場の位置も東と西で分けるくらい徹底して分離することをおすすめします。

これで、玄関で鉢合わせすることもなく、駐車場なども共用部分にしないことで、どちらが管理するかが明確になります。

そこまでしなくても…。と言われるかもしれませんが、そこまでやらないと問題は起こりやすいんですね。

②30年後の問題

これも「完全分離型」にすると、孫世帯も同居するよりも気軽に二世帯住宅に住むことができます。

さらに、万が一孫世帯が住まないという選択をしたとしても、少しリフォームをすれば賃貸として貸し出すことも考えられます。

家賃収入を得られるので、老後の助けになるかもしれません。

③相続の問題

こちらも、相続で資産がない場合は、親世帯の持分を兄弟で分け、賃貸に出し、その収入を分配するということも考えられます。これは少し強引かもしれせんが…。

「完全分離型」にするということは、建築費用は高くなります。

しかし、将来の問題への保険として考えると安いものです。

また「完全分離型」を選択するにしても、プライバシーの確保で、1Fと2Fの関係性の配慮、駐車場の位置の配慮なども加味する必要があります。庭も分けたいくらいですね。

土地が広い場合は、二世帯住宅にするより、土地を文筆して2棟建築するのも良いと思います。

まとめ

いかがでしたでしょうか?

二世帯住宅には、意外にも問題が隠れていることを解説しました。

しかも、致命的な問題になりやすいです。

これから二世帯住宅を検討されている方は、十分に考えて検討してくだいね。

「完全二世帯住宅」にすると、解決できるところも多々ありますが価格は高くなります。

二世帯住宅のメリットであるコスト面の恩恵が少し感じにくくなるかもしれません。

それでも、しっかり配慮した設計をおすすめします。

良い家造りができますように。今日も応援しています!

まとめ

・二世帯住宅には致命的な問題が潜んでいる。

・二世帯住宅にするには「完全二世帯住宅」にするべき。

・その他にも1Fと2Fの関係や駐車場の配置まで徹底的に分離すること。

・「完全二世帯住宅」はコスト面の恩恵が少なくなる。

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